スタッフの人数が増えるほど〇〇が増える?
スタッフの人数が少なくてもなかなかうまくいかないのがスタッフ育成。
歯科医院が大きくなり、スタッフの人数が増えてくると組織としての混乱も実は益々大きくなっていくそうです。
無意識に手を抜く?
100年以上前にドイツの心理学者リンゲルマンが網引き実験を行いました。
1人で網引き作業をする時を100%とした場合、2人で網を引いた場合の1人当たりの力は93%に、3人で網を引いた場合の1人当たりの力は85%、4人の場合は77%、5人の場合は70%そして8人の場合では49%と「持っている力の半分以下しか発揮しなかった」という結果を導き出しています。
他の心理学者はチアリーダー2人に目隠しとヘッドフォンを着用してもらい、互いの状態がわからないようにした中で単独の場合とペアの場合で大声を出してもらいます。
目隠しとヘッドフォンをしているにも関わらず、単独の場合よりペアの場合の方が94%の音量しか出せなかったそうなのです。
集団での能力発揮は人数が増えると発揮が衰えますが、必ずしも意図的ではない、意識的でもないことが確認されています。
これをリンゲルマン効果、別名「社会的手抜き」とも呼ばれています。
手抜きをするスタッフ
歯科医院は小さな組織です。
単独ではなく複数人で安心安全な歯科医療を提供しています。
ですが、リンゲルマン効果でスタッフの人数か増えるほど「手抜きをするスタッフ」が増えてしまうのです。
手抜きをするスタッフが増えてしまうと、生産性は低下します。
歯科医院での生産性とは、予約時間内に処置を終了し、次の患者さんを予約時間通りにスタートさせることだと思います。
患者さんの待ち時間に対してルーズになってしまっていませんか?
手抜きをするスタッフが増えてしまうと、真面目に仕事に取り組むスタッフの負担が増え、他のスタッフの真面目な貢献に頼り切ってしまいます。
このような状況が続けば、スタッフ間でのモチベーション低下にもつながってしまいます。
リンゲルマン効果での手抜きスタッフは意図的でもなく、無意識ですから、防ぎようがないのでしょうか?
リンゲルマン効果を防ぐためにも原因をしっかりと理解してみましょう。
手抜きスタッフを増やす原因
いくつかの原因があります。
①コミュニケーション不足
スタッフの人数が増えれば増えるほど、日頃からスタッフ間のコミュニケーションはとても重要。
チームワークを発揮させるためにも、コミュニケーションは日頃から意識したいものです。
コミュニケーション不十分さからスタッフの知らない間に疎外感を覚えてしまうのです。
②狭い職場の同調行動
スタッフの周囲の人達の言動がバラバラだったり自分自身に自信がなかったりして自分の気持ちを抑えて周りに合わせて行動してしまうと少しずつ時間をかけてやる気を失ってしまいます。
歯科医院の中ではそれぞれの役職があり年齢や経験も様々ですし、スタッフにはそれぞれ個性や性格が違います。
スタッフ全員が同じ気持ちではないから一方的な考え方を押し付けている場合も少なくないのです。
③責任感の欠如
自分に与えられた仕事を責任を持って最後までやり尽くすことを経験しないでいると責任感は養えないままかもしれません。
未熟なうちは先輩の手を借り助言を受け成長していきますが、その成長を奪ってしまった教育をしてしまうと責任感がないまま育ちます。
責任感がなければ当然、信用されませんし「他人任せ」のスタッフへと変貌していきます。
④国が決めた基準の勤務環境が整っていない
働き方改革で基準が変わっても医院独自のルールや概念に捉われすぎてしまい基準を統一できていないまま。
しっかりとしたルールや規則の中スタッフが働きやすいように勤怠管理も徹底させるように歯科医院側の配慮は欠かせません。
他にもいろんな原因はあるでしょう。
歯科医院で院長だけ必死に経営のためスタッフのために色々と頑張っていてもその頑張りが空回りしないようにしてもらいたいと願っています。
〇〇への対策とは?
私は長年、歯科医院での勤務経験がありやる気のあるスタッフ方でしたが、状況、環境によっては「やる気なしスタッフ」「指示待ちスタッフ」「手抜きをするスタッフ」に変貌した経験があります。
良いスタッフでも状況や環境に左右されてしまうのです。
自信のない、未熟なスタッフならばなおのこと状況、環境で「仕事はこのくらいで良い」と手抜きをしてしまわないよう
整えてあげてください。
手抜きをするスタッフを増やさないためにも色んな対策がありますので、ご紹介したいと思います。
① 役割の明確化
スタッフそれぞれに役割や分担、責任を認識できる環境づくりを行う。
すでに取り組む医院は多いのですが、掃除や準備といった誰でも同じことをやってほしい場合には詳細なマニュアル作成が必要です。
② 当事者意識を持たせるための仕組みづくり
院内での組織図を作成し係やプロジェクトに割り当てることで、やる気を持って活躍するスタッフを増やすことが可能です。
ここには注意が必要で、慣れない、未熟なスタッフにはサポートが必要になります。
③ 自分の仕事の評価制度
自分の仕事ぶりを評価できるシステムを設けるとスタッフは自然と自分の仕事に意識を向けます。
そして評価を可視化させることで報酬との関連性が分かりやすくなります。
年功序列も考慮しながら仕事ができるスタッフへの評価も出来れば明瞭軽快かもしれませんね。
④相互評価の導入
せっかく評価制度を導入されるのであれば、自分自身の自己評価だけではなくお互いをチェックするシステムもあると便利かもしれません。
この場合、スタッフ間同士の文句の言い合いになってしまわないように注意が必要ですが、見えなかった部分を評価できますのでより成長を高めることができます。
⑤個別面談の実施
定期的な面談で日頃の仕事に対する目標設定や目標に向かうためのプロセス、その過程での成果や課題のフィードバックができるとスタッフ一人一人にしっかりクローズアップしている、応援されている、評価してもらえていることがスタッフに得られます。
面談で簡単にスタッフの要望を聞くのはとても危険です。
十分に安心安全で心理的安全性の保たれた環境での実施でなくてはなりません。
⑥応援される・認められる環境づくり
スタッフ一人一人に対して承認欲求を満たすためにはさまざまな働きかけが必要です。
目標管理制度の導入で個別面談でサポートすることもその一つでしょう。
成長をサポートするためにも院内の勉強会実施や院外の研修、セミナーの参加も必要でしょう。
新しい未熟なスタッフの教育、中途採用のスタッフへの教育、人材育成の充実を図ることもスタッフの承認欲求の充実につながる仕組みといえます。
やる気を高めるために
- 指示待ちスタッフに頭を抱えている。
- やる気なしのスタッフにイライラしてしまう
- 手抜きをするスタッフがいてどうしたらいいか分からない
スタッフのモチベーションを高めるためにはまず「やる気を失う原因」を取り除くことです。
手抜きするスタッフが増えないようにする仕組みを知りスタッフがやる気を失わないように歯科医院を運営される先生と組織を見直すいい機会かもしれません。
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